11.だからサッカーは面白い

 5月27日、第1ステージ最終日に逆転ドラマは生じた。セレッソ大阪がフロンターレ川崎にVゴールを奪われた瞬間である。
 サッカーファンなら誰もがご存知であろうから詳細は省くが、ドラマは前節から始まっていた。1週間前の直接対決で勝てば、Fマリノスの優勝はすんなり決まっていたのだ。
 ここが人間演じるゲームの微妙なところ、横浜は勝てなかった。そして最終日、前節と同じ心理状態が、こんどはセレッソ大阪を襲ってしまった。
 横浜は2対0で市原に勝ち、オーロラビジョンで大阪の戦況を見上げていた。川崎のシュートが決まった。同時に横浜のどんでん返し優勝が確定した。桃色のユニホームが芝生に崩れおちた。森島選手は立ち上がれない。意気込んでいたサポーターも茫然自失。まさに天国から地獄であった。
 対照的に横浜Fマリノスは歓喜の嵐が舞い上がる。だれかれとなく抱き合う選手たち。興奮の絶頂に達したサポーター。テレビの二元放送が刻明に両軍の表情を伝えてくれた。2本のパスがすべて得点につながった俊輔選手の満足そうな笑顔。試合中は鬼気迫る顔で前線を叱咤していたのがうそのような川口GKのおだやかな顔。2人がこんなにはしゃいだ姿を私は初めてみた。これは優勝までの道のりが苦しく険しかったからだろう。
 面白いのは、この1戦に勝てば優勝が決まるという1戦を、両チームとも落としてしまったことだ。平常心を保つことがいかにむずかしいかの証明でもある。しかし、これがナマの人間の演じるドラマなのだろう。
 中村くんと桐光で同期のフロンターレの佐原くんが半月板の手術で入院中なのが気の毒だった。歴史の1ページに残るであろうこの日のステージにあげたかった。

連載コラム No.11より



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