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二十代の頃、私は劇作ゼミナールの同人であった。脚本を発表すると師匠は言った。 「この作品では作者が言おうとすることを、ワンセンテンスで話しなさい」と。一文にまとめるのは簡単なようでむずかしい。「つまり・・・その・・・」と口ごもり、明快に表現できないのは、脚本の出来が悪い証拠であった。
又師匠は「一巻物の脚本は幕を降ろす場面を初めにはっきり頭に描き、これに向かって邁進せよ」ともおっしゃた。余分な枝葉を切り落とし、せりふも動きも幕切れを生かす効果的な複線であるべき、とのお考えであった。Simpleを要求なさったのだ。
訳が目にはいる。ネクタイなどを買うとき、私は30秒ほどで決めてしまう。直感である。結果としてSimpleな物が多い。着用しても飽きがこない。
サッカー試合のベンチから、しばしば「単純に」「簡単に」の声が飛ぶ。足もとでボールをこねたり、むだなパス回しなどで、ゲーム展開がモタモタしている場合の指示である。ドリブルもパスも、点を取るための効果的な手段であり伏線であらねばなるまい。脚本の創作もファッションも、そしてサッカーも共通したものであると思う。
−イレブンよ、ゴールを目ざして、Simple is Best!−
連載コラム No.10より
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