1.日々にたくましく

 「新1年生のゲームを観にきてください」加藤部長先生は、自信ありげな表情でおっしゃった。春休み中のことだ。 佐原主将や中村選手を初め、主力選手がごっそり卒業し、新チームの陣容に一抹の不安をかくし切れぬ時期であった。 桜吹雪の中を読売ランドまで走った。桐光学園一年生対東京の中学選抜チームとの練習試合である。この日初顔合わせの桐光チームは、すでに何回も練習をこなしてきたようなすばらしい試合展開を見せてくれた。
 今年は関東の強豪高校十二校によるスーパーリーグが発足した。芝の競技場で、ふだん馴れていないリーグ戦形式の体験を積ませたいというのが目的のようだ。試合会場に私のふるさと韮崎が多く使われた。私にはとても好都合だった。 井手口主将や山本選手らの怪我もあって、当初から数名の一年生が出場していた。 技は高くてもまだ少年っぽく、体力スタミナ面のハンデは致し方ないことであった。重なる敗戦にもめげず、佐熊監督たち指導者は、一見ひ弱な一年生を使い続けた。 将来を見据えての起用と私には映った。 こうなると上級生といえども安閑としておられない。下級生に負けるものか、と意地を見せてくる。 インターハイには惜敗したが、夏からの九月にかけて選手たちの気合に拍車がかかる。 特に入学したての頃は、いかにも細っこい一年生たちの体格は、私が桐光グランドへ出かける度にたくましさを増してきた。 昨年度の輝かしい戦跡が、あるいはプレッシャーになることもあるだろう。 だが、そこは豊田先生のご指導よろしく、リラックスして選手権を勝ち進んでもらいたい。 桐光イレブンの武運を祈る。


一九九七・九・一七




←前

次→